無限のあわいに 鈴虫

8月で、東京での源氏物語連続語り会は8年目に突入します。
初回は8年前の8月8日、∞/∞無限の企画と思われたこの会も、皆様のお支えのお陰で43回会をかさね、第三十八帖に届きました。
8月は「鈴虫」の巻。

静かな静かなこの巻で交わされる言葉の向こうから黄泉の風がほのかに吹いて来るのを感じます。
平安時代の鈴虫は現在の松虫。「鈴虫」という巻名で、りりりー という涼しげな声を想像しがちですが、物語に聞こえてくるのは
チリ  チリリ  チリ・・・・・・
というひそやかな声。遠い遠いどこかからかすかに聞こえてくる鈴の音のようです。  誰がならしているのでしょう。
「物語」が、出来事を伝えるのではなく、遠い世界とつながるために編まれたのだということに気付かされる巻。
嵐のように壮大な「若菜」の大波を越えて 今目の前に広がる海の静けさ
凪いで光をかえすおもてからは見得ないわたつみの深さに潜る心を、虫の音を聞き分けそこにあはれを見いだすやまとの心を、私達が本質として受け継いでいることに喜びを感じています。
そんなことを 実感する巻。

蟬の声がふりしきるような暑い時期に、一足早く秋の静けさを。
「鈴虫」の巻 8月20日(土)、21日(日)の両日3時より
東京明大前駅徒歩2分のキッド・アイラック・アート・ホールにて。











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