京都五十四帖語り会

2016年1月 いよいよ京都での五十四帖連続語り会がはじまりました。
せっかく物語が生まれた地で語るのだから と、巻ごとに物語にちなんだ場や相応しい空間で開催することに致しました。お越し下さる方が物語だけでなくその世界全体を味わっていただけることを楽しみにしてくださるような会にしたいと思います。


第一回【桐壺】は、ザ・ターミナル・キョウト 素晴らしい京町家。
新年の気配ののこるしずもった清らかな空気。

ちょうど一年前の成人の日、東本願寺涉成園で、宗教学者山折哲雄先生に公演を御願いして六条院の栄華を語らせていただいた折に、山折先生は、平安時代には十二歳のころであった元服の儀と現代の成人式にかさねて、青年期の心と身体の成熟についておはなし下さいました。奇しくも次期を同じくしての源氏の君の誕生と元服、婚礼、そして藤壺の宮への幼い恋心がほのかに揺らめいて、いよいよ壮大な物語の船出です。

そして3月27日には、中井和子先生が愛された野仏庵さんでの第二帖【帚木】〜「雨夜の品定め」の段をお聞きいただきました。お庭に点在するお茶席などを散策していただき、坪庭のあるゆったりと素晴らしい母屋でお抹茶と御菓子をお楽しみいただいてから、講堂で語り会が始まります。


深々とした格調の鳥の子紙の白屏風、見事な細工の燭台に和蝋燭を灯し、雨音につつまれる物忌みの夜の密室劇・・・。モノトーンの世界に紅の蝋燭の灯りがゆらめき、色恋談義の対極にある源氏の君の心中が闇の中に浮かび上がります。声にする言葉のむこうにある このなまめかしい心、お伝えできたでしょうか・・・。源氏物語には希な、男性の台詞が九割という大変に難しい段でした。

これから始まる壮大な物語に登場する女君達の目次のようなこの段、そして言葉にはなっていないけれど、かさねらたもう一つの禁断の恋の世界・・・ 女房語りのテーマでもある「かさね」がここにも色濃く通奏低音として流れています。私にとってはそれが源氏物語の醍醐味、独りよがりでなくこれこそをお伝えでしたい と願っています。

次回は5月21日(土)法然院さん方丈の間での【空蝉】。【帚木】の後半、帚木の女君との出逢いを前段にお聞きいただきます。









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