2013-01-01から1年間の記事一覧

Sad Song

ルー・リードがなくなった。私にとっては ことだまの歌い手。 音符に従うのでなく 彷徨するように 言葉が求めている音を問うように 音を紡ぐ人。どんなに堅牢な理屈も人の心は動かせない 心に直にふれてくる 揺らめくような生命感 それが人に力の源にある光…

理屈じゃないのよ京ことばは

句読点。読点これはくせ者です。 台本などにふってある読点は、読み解くためにふってあると理解し、 声にするときにはあえて無視したり、また読点のないところで息を入れることがあります。 そのことが命を吹き込むのに求められると思うときには。 源氏物語…

彼岸の花 遠くの私

天に手をさしのべる彼岸花は 降りてくる魂を受けとめようとしてるみたい 異名を数持つこの花に名前をあげるとしたら 千手花お盆は各お家に戻ってくるおしょらいさん 秋の彼岸の間はこの花に宿をとるようで お彼岸過ぎてこの花は灰がちの炭が白く燃えるみたい…

此岸の目 彼岸の目 兆しの風

八月がまた巡ってきました。五年目に入った連続語り会。 『野分』の巻はこれまでと少し違った感覚になる巻でした。 源氏の子息 夕霧中将が、野分の風見舞いで巡る六条院御殿。 垣間見てしまった父源氏の最愛のひと 紫の上の美しさ。 親子とも思えない程の玉…

あの山の向こう 生の彼岸に

「常夏」「篝火」の語り会が無事終わりました。 ちょうど五十四帖の折り返しの帖が夏至の日とかさなって この四年間を少し振り返ってみました。中井和子先生が遺して下さった美しい京ことばによる源氏物語を 一語残らず声にしようと 無謀にもはじめたこの企…

常夏 なでしこ いとし子 山猿・・・!

四年目にして、源氏物語連続語り会は五十四帖の折り返し点です。 お支えありがとうございます。物語は折り返しにふさわしく(?)源氏の息子達の代がいよいよその個性を発揮しだします。 玉鬘十帖も盛り上がって来、常夏の巻と、篝火の巻が控えています。源…

ことばに宿っているものを

ことばが宿している魂 魂 という漢字はエネルギーの塊のような印象だけど たましい と声にするととたんにやわらかく浮遊しはじめるようです。漢字を見て感じるそれと、声にした時に動きだすそれ。 そしてそれを声にするときには 大元は同じでも色合いや質感…

ことばにすること 

「源氏物語〜かさねる心」 初めての長い講演をさせていただきました。源氏物語を語る中で自身のテーマとしている「かさね」のさまざまを 物語の大きな流れとともに そして後に伝えられていったかさねの表現に繋いで 私達が生きる中でかさねとはどういうもの…

撫でし子の 父 母のかさね

常夏はなでしこの花の異名。なでしこは撫でて愛しむ子の意。 頭中将(現内大臣)にとって亡き夕顔の遺児玉鬘が常夏。 源氏大臣がひきとったという姫こそがわが娘と知らずになでしこの姫を探す内大臣は、 落胤の姫 近江の君を迎え入れます。 が。 が!・・・なの…

あはひの物語

源氏物語は王朝の恋愛物語ではなく あの世とこの世のあはひ 境の物語だと思います。朝顔の巻では、朝顔の姫宮に恋情を訴え退けられた源氏が その後紫の上に ずっと胸に秘めていた亡き藤壺のことを語ります。 そのことだまに震えた藤壺の魂が夜半雪の庭に降り…

京都有隣館 春秋の誉れ

4月21日、京都東山の私設美術館の草分け「有隣館」で「胡蝶」の巻を語りました。 女房語りの活動を支えて下さる京都の方々が企画して下さった語り会です。 現館長様の御祖父様が蒐集なさった美術品の数々が静かに気配を醸し出している館内。 開演までの時間…

闇の気配 蛍の光

螢の巻を語り終えました。沢山のお運び、ありがとうございます。六条院という素晴らしい環境の中、人知れず玉鬘の姫が 源氏の大臣の恋情に困惑を深める巻。火をおこさない限り、夜ともなると月星の他には明かりのなかったかの時代。 王朝人は闇の中、焚きし…

3月の声 残響

昨日は3月の声と称する輪読の会に出席しました。3月にまつわる日記や小説、詩を思い思いに持ち寄って、喫茶店の片隅でひっそりと声を交わしあいました。私は芸もなく源氏物語の花の宴から藤の花の宴を原文で聴いていただきましたが、ステージで語るのとは違…

命を宿すもの

無事二十四帖「胡蝶」の巻を語り終えることが出来ました。有難うざいます。 今回は以前舞台で演出していただいた懐かしい先生に聴いていただけました。 また高校時代のごく短期間ですが一緒にバンド活動などした懐かしい先輩、 ラジオドラマをずっときいて下…

富士子さんの帯

昨年夏 友人うさぎさん(仮名)の御母様が亡くなりました。 母娘で源氏物語が大好き、応援して下さった方でした。名は富士子さん。 乙女の頃の夢は女優になること、でも時代もあって夢は叶いませんでした。 けれど文才のある富士子さんは随筆家として本を何冊…

空とぶものに思いを託して

春が待たれる寒い日に、蝶や小鳥の舞歌う「胡蝶」の巻を思います。 晩春三月、六条院春の御殿で池に龍頭鷁首の舟を浮かべての舟楽が催され 春の御殿の素晴らしさが隈無く描かれます。 翌日はここに里帰りしている秋好中宮による季の御読経があり、 紫の上は…

心つつんで

成人の日の今日は爆弾低気圧で各地に大雪。 大荒れの船出は日本を象徴しているよう。本年もよろしくお願い致します。初詣に中井先生から戴いた、鼠地に山桜を染め抜いた着物を着ました。 北欧に講演に行かれたときに誂えられた着物。 中井先生は山桜の背景を…