2012-01-01から1年間の記事一覧

海とのやりとり

人の力の源泉はどこにあるのだろう。 福島のこおりやま文学の森資料館で「桐壺」の巻を聞いていただいた。 前回と同じようにこちらが激励され力を貰い、 その瞳の中に、発せられた言葉の中に、強い輝きを見た。 この日会津に足を延ばすつもりでいたのが先方…

初音の巻終えて

連続語り会二十一回「初音」の巻が無事終了しました。 みなさまありがとうございます。 この師走は選挙やらで世知辛い雰囲気も例年以上ですが、 キッド・アイラック・アート・ホールでは一足早いお正月気分を味わって頂きました。 年末に源氏が新年の衣裳を配る…

欧州から帰国致しました!

11月2日からから15日までヨーロッパに赴き、ワルシャワ、パリ、スイスで京ことば源氏物語を聴いていただきました 連続語り会をさせていただいている神戸風月堂さんとワルシャワ大学日本学科とのご交流の中で、日本の文化を紹介するという重いお役目を頂き、…

夕顔のゆかり 玉鬘

連続語り会 第二十回「玉鬘」の巻、ご支援有難うございました。不覚にも風邪を引いてしまっていましたが、恐れていた咳き込みもなくなんとか無事終了・・・。 反省とともに感謝です・・・! 玉鬘は夕顔の君ゆかりの姫。源氏物語でいうゆかりは、永遠の女性の身代わ…

なにに導かれてのこの出逢い 〜玉鬘〜

長い残暑から気温が急降下。局所豪雨にも驚く日々です。 秋の便りとともに読書、芸術、スポーツ、グルメと日々の楽しみも増えましょう。 この秋は毎週語り会の企画をいただいて、頭があの巻この巻と少旅行しています。来週は初めて静岡で語り会、旧五十嵐邸…

18歳の昔話

先日facebookにある写真がupされ驚きました。 それは私の十八歳の頃の写真、京都で初めて演出のもとにお芝居をした舞台写真です。ダンサーになるという夢を描いていた私は、脚の故障でダンスを断念してからは生きる目標を失ったゾンビのようでした。今から思…

京都の夏が遠のいて

京都に遺る揚屋建築 重要文化財『角屋』さんでの語り会が 無事に終わりました。 麻布香雅堂の山田眞裕さんが貴重な原木のご紹介と共に 源氏の君の香を再現して下さり、お陰様で素晴らしい会になりました。江戸期の建築の粋を結集させたかのようなお部屋の数…

星空に紫の織女 紡ぐことのは

第二十一帖乙女の巻の語り会が無事に終了しました。 キッド・アイラック・アート・ホールでの五十四帖連続語り会もこの八月で四年目に入りました。 耳を傾けて下さる方々、支えて下さる方々のお力と励ましのお心がなかったら とうてい続けてこられなかったと思…

消えてゆく 声

8月連続語り会の台本が出来た。今回のはぶ厚い。これでやっと台本だけは自分のものになる。 これからその内容を自分の中に浸透させてくのだけれど、グールドの弾くピアノのように一度テキストをバラして身体の中で生成し直すというイメージで向かっている(…

朝顔と淡雪と

先日の「朝顔」巻の日に来た着物です。 物語の季節は9月から雪の降る頃。実際の季節はもう薄物の着物を着なければなりません。 巻に流れる気配は幽玄・・・。 ちょうどありました。「螢染め」といわれる絽の着物。青みがかったうす鈍色。 薄ぼんやりとした白い…

伝えるこころ 

3.11以降「たね蒔きジャーナル」等で小出裕章先生(京都大学原子炉実験所)のお話を伺ってきました。こんな私にも本当によく解る説明で教えて下さいます。そしてものを語る人間として 小出先生を尊敬しています。 お話しを聴いていると、感情が 人にものを伝…

朝顔の歌 招霊の庭

秋はてて霧のまがきにむすぼほれ あるかなきかにうつる朝顔 朝顔の姫が源氏の求婚に対して返す歌です。女盛りも過ぎて霧の隔てに 色あせている私です・・・。なんとも意味深な、やわらかなおことわり。霧は垣根や壁ではないけれど、ずっと距離を感じます。 手の…

十二単

衣裳のことが知りたくて 以前見よう見まねで描いた 十二単。 お手本に背いてお顔をこっちにむけちゃいました。 殿方の立ち位置が此方から向こうに変わったという想定で

ブログのお引っ越しと『朝顔』の巻

新しい「紫苑の小径」にようこそお越し下さいました。本日ブログのお引っ越しを終えました。これから少しずつ充実させていきたいと思います。 またサイトも近く一新したいと思っていますが まずは目前の語り会の準備です。キッド・アイラック・アート・ホールの…

微生物とかエナジーとか 

ブログの更新を怠っているうちにもう6月の半ばに突入! お陰様で京都野仏庵で様の語り会『花宴』は無事終了。 お支え下さった方々に感謝致します。5月は母の手術入院のことで長く実家にいたので、 東京にもどってからは山積みの仕事に着手。 8月の京都角…

不吉なまでの美しさ

源氏の君のあまりの美しさに、「不吉とさえ思われる」というこの表現、 美しすぎると神様が魂を連れて行ってしまう または物の怪に魅入られてしまう 究極の賛美の表現です。昨日は母が人工股関節をいれる手術を受けました。 高齢ながら身体は手術に堪えられる…

最近のわたくし

東京でのお花見がほとんどできなかったので 遅い春を追って山梨県明野へ行きました。 途中 桃の花が満開で ピンクの絨毯、きれいでした。昨年樹齢二千年のエドヒガンザクラに会いに行ってからすっかり明野ファン。 桜名所マップ以外にも、歩けば桜。さまざま…

京都 花の宴・・・ 05-03

来る5月26日(土) 京都野仏庵にて「花宴」を語ります。やるかたない藤壺への想いは、朧月夜の君への狂おしい恋にかたちを変えて あまやかに源氏を苛みます。 新しい恋に夢中になっているようでいて その心の底には藤壺への烈しい恋慕の炎がゆらめいてい…

突然ぴよぴよ!?

「薄雲」の巻 無事終わりました。 明石の子別れ、藤壷の死、冷泉帝出生の秘密 明から暗へと 長く重い巻でした。 初日はなぜか終盤咳き込んだ後、声がいきなりぴよぴよに。 一瞬ヘリウム吸ったみたいな声になって驚きました。 冷たい雨が降って 当日のキャン…

天地人を自省で糾う 夕映えの紫雲「薄雲」

深草の 野辺の桜し心あらば 今年ばかりは墨染めに咲け (古今集)昨年の桜は本当にこの歌の心のようでした。この土日に 源氏物語の『薄雲』の巻を語ります。 物語と平行して、平安時代の天変地異と現在が重なってみえます。物語は重要な門をくぐります。占い…

日々の尊さ

ニーチェの馬 という映画を観た。 吹き荒れ狂う嵐の中 荷馬車を走らせる老人 その長回し。 引きずるような音楽は神経を重く引っ掻くような空気を作る家に戻り 声も交わさず着替えを手伝う娘をじっとみつめる老人の目は 左目ばかりが深く鋭い。 異様にも見え…

ああぎっくりした

昨日久しぶりに舞の稽古に出ることができた! ゆったりとした動きの中 身体を駆け巡るここちよい風の緩急。先生は昨年から腰を痛められたうえでの指導。 でも拝察したところ腰を悪くしている人に見えない。 この間、痛みを利用して、ご自身の身体を改めて観…

母の決断

おちびのころ 母編み物の上手な母はベビー服から自分の着ているスーツまで手編みした。今朝、今はもう年取った母が股関節の手術を決意したときいた。 もう長く痛みをかかえて 杖をついて近所のマーケットくらいにしか自分の足では行けない母は、家の中では家…

百輭先生の煙にまかれて 03-11

内田百輭お伽噺集の朗読会が終わりました。 飛び込みのお客様も多く、予想外?に満員御礼!!ありがとうございます。百間先生のこの短い(短すぎる)お伽噺の数々、 物語に当たり前になっている起承転結はどこへやら 目隠しされて手を引かれてそこの辻を曲がっ…

はりきって、皆さんの関節外します。

内田百輭朗読会の音楽を選んでいます。百輭先生は音楽好きでおられたそうな。 中でもソナタ形式の音楽をお好みたっだとか。物語はみんなとても短くてその余韻を楽しんでいただくために 物語と物語の間に短い音楽を、と思っています。 本当は生演奏だったら良…

かさねの初日と岩波映画

三月三日、新たに五十四帖がスタートしました。 源氏物語のかさね にちなんで、数が重なるお節句に始めました。 美しいチラシ効果であっという間にお席が完売という嬉しいプレッシャー、 晴れ女としては晴天ぽかぽか陽気を祈願、 お陰様でよいスタートとなり…

雪の如月つごもりそして弥生

寒の戻った京都から戻りました。京都国語の会で学校の先生方に語りを聴いていただいたのは 中井和子先生の生前のお住まいのすぐ近くにある古い校舎でした。 翌日 神戸風月堂での連続語り会がもう六帖の「末摘花」。 今回は風月堂の社長さんとお話ししました…

王様の背中

昨年からの計画 源氏物語以外の作品の朗読企画が動き出しました。3月10日(土) 小田急線経堂駅そばのカフェ 『マレット』で、小さな朗読会です。『王様の背中』文学界の奇行子 内田百輭先生のお伽噺集です。 タイトルのルビは「わうさまのせなか」だもんね昭…

松風の巻が終わって

寒い中、沢山の方にご来場いただきました。 ありがとうございます。はああ、ほっとしています。 が、ほほほっとしている間は無く ちょほ。週末は京都と神戸で語り会。 若紫と末摘花、それぞれ演目が違うので上手に頭を切り換えなくては。 着る着物も違うので…

琴(きん)の琴 これが七弦琴の音

明石の御方は琴の名手です。 父入道が教えたようですが、入道も延喜の帝の直伝を弾き伝えて三代目 とあるように、大変高貴な楽器であることがわかります。明石から都に召還される源氏は この地に残してゆく明石の君に 形見として自身の孤独を慰めた琴の琴を…