いのちの林檎

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この何の変哲もないように見えるひとつの林檎。
宝物のようで、いただかずに目の前に置いて見つめています。

これはいのちの林檎、奇跡の林檎です。
改めて説明するまでもない、木村秋則さんがお作りになった林檎・・・!
絶対不可能といわれた完全無農薬、無肥料の林檎。
この林檎に命を救われた女性がいます。
化学物質過敏症という、現代文明病の象徴ともいえる症状に、彼女は日常生活のあらゆる物質に呼吸困難を起こし、ついには世界最高水準の浄水器を使った水すら一滴も飲めなくなりました。脱水症状でいのちが危機にさらされている時、木村秋則さんの林檎に救われたといいます。

化学物質過敏症は他人事ではありません。生活の中で避けることの出来ない化学物質を取り込み続けた私たちの身体は、いつその許容量を超え、発症するか知れないのです。
現に今日本で苦しんでいる方は70万〜100万人といわれています。

大切な友人、ドキュメンタリー映画作家 ビックリバン 藤澤勇夫監督と奥様でプロデューサーの馬場民子さんが、数々の困難を乗り越えて制作された映画「いのちの林檎」。絵本作家のエムナマエさんが題字を、宣伝美術をいつも源氏物語のちらしをデザインしていただく鈴木マモルさんが担当されました。この試写会を、先日下北沢でみせていただきました。早苗さんという美しい女性を中心に化学物質過敏症に苦しむ人々を追いかけた映画は想像を絶するものでした。作品では木村秋則さんが奇跡のりんごを収穫されるまでの、命を問うような10年以上の軌跡が並行して綴られます。

映画の中で、早苗さんが木村さんの林檎を、一切れ口にするシーンがあります。「きれいなりんご・・・」と心からの安らぎの面持ちでつぶやく彼女に心底衝撃を受けました。
この映画は、農薬を使う農家の方々を攻撃する映画ではありません。静かに、ありのままを私たちに心を開いておられる早苗さん始め症状を背負った方々から感じ取れるのは、「いのちをありのままに生きたい」という、この星に命を受けたものすべてが願う根源的なものです。

地球をないがしろに経済優先で突っ走ってきた人類がつくった世の中の仕組みが、究極のひずみを私たちにつきつけてきた、そんな気がします。
「地球に優しい」という決まり文句を掲げて手足を広げる企業の姿勢は、今立ち止まり、再考の時期に来ていると思います。私たちはこの星に生きることを許されたほんの小さい命の一つでしかないのだから。これまで私たちにこそやさしかった地球が本当に怒りだす前に。

藤澤監督、馬場プロデューサー、早苗さん始め出演された方々の勇気と心に敬意を表します。
この日記を読んでくださった皆様、どうぞこの「化学物質過敏症」のことを知ってください。
そして大切なお友達に伝えてください。
映画「いのちの林檎」は上映館を求めています。ぜひご協力ください。