雪の如月つごもりそして弥生

寒の戻った京都から戻りました。

京都国語の会で学校の先生方に語りを聴いていただいたのは
中井和子先生の生前のお住まいのすぐ近くにある古い校舎でした。
翌日 神戸風月堂での連続語り会がもう六帖の「末摘花」。
今回は風月堂の社長さんとお話ししました。緊張したのでした。
そのわけはまた改めてかくことにして。

京都では能の扇司十松屋さんにいきなりお邪魔して
またまたご主人に扇のとても興味深いお話しを伺い、
絶品の鯖寿司を賞味してとろけ、
和紙の巻紙など買って来てしまった。
手習いするのだ!

東京に戻ってひといきくつ間もなく今度は「梅枝」
京都神戸の源氏の君十八歳からいきなり三十九歳。
登場人物全員の位も変わって状況も一変。私もモードチェンジです。

朝起きてみたら  まだほの暗い時刻なのに外が明るい・・・
雪!!?がーん。でもなんてきれい。
電車も遅れていましたがそんなに遅れずたどり着いた椿山荘。

浄土のような美しさ。
大きな窓から見下ろす庭の木々に白い花が咲いたよう。
雪をかづいた赤い椿の美しいこと。
風が強いので雪が輪舞を見せてくれました。

会場では源氏の君が自ら調合し薫らせたという香を
麻布 香雅堂のご主人山田さんが延喜式に基づいて再現されました。
そして!
ご存じムスクの原料、ジャコウジカから切り取った(イタタタ)
香りを分泌する部分が毛皮付きでそのまま瓶に入っていて、
これは香りを聞くというよりくんくんしたという感じでしたけど
かなり強烈な、でも もういちど と癖になるようななんともいえない香り体験。
これが香として調合され人の体臭に混ざって
えもいわれぬ魅力的な香りになるのですね。

会場は高貴な香りで充ち満ちて
外は雪化粧、この世とは思えないような空間に
くらくらっとなりながら梅枝を語りました。
雪にもかかわらずお着物をお召しのお客様も多く
あでやかな会となりました。

そして今日から弥生
明るく晴れ渡って 雪が溶けて屋根からぽちぽちぽちぽち落ちる音と
春を喜んでるような小鳥の声が綾になって聞こえます。

明後日三日は亀有での五十四帖連続語り会のスタート。
女君のお節句でおまけに耳の日
源氏物語を聞くにはうってつけではありましぇんか。

どんな着物にしようかしらん。