なにに導かれてのこの出逢い 〜玉鬘〜

長い残暑から気温が急降下。局所豪雨にも驚く日々です。
秋の便りとともに読書、芸術、スポーツ、グルメと日々の楽しみも増えましょう。
この秋は毎週語り会の企画をいただいて、頭があの巻この巻と少旅行しています。

来週は初めて静岡で語り会、旧五十嵐邸という素敵な場です。
所沢の図書館2館に初めましての語り会、
そして仙台で開かれるねんりんピックでの競技かるた会のオープニングに語らせていただくと10月もはや半ば。20,21日はキッド・アイラック・アート・ホールでの連続語り会です。

第二十二帖「玉鬘」の巻。ついに美女たまかづらの登場です。

源氏の大臣は六条院御殿に心にかける女君達を住まわせ栄華の日々を過ごしていますが、
若かりし日、逢瀬のさなかにむなしくなってしまった夕顔の君のことが忘れられません。
夕顔が遺した幼い娘は、今は訳あって筑紫(九州)の地で美しく成長していました。
秘められていても美人の噂は漏れ出るもの、求婚者が絶えません。
中でも強引な土地の有力者の脅威から逃れて乳母らとともに海路 京を目指します。
命からがらたどりついた都にはしかしあてもなく、姫は初瀬観音に祈ります。
そこに居合わせたのが在りし日の夕顔に仕えていた右近。涙涙の再会です。
主を亡くした右近は現在は源氏の大臣にお仕えしながらも、
夕顔とその遺児のことを忘れてはいなかったのでした。

源氏は、時を経て夕顔の忘れ形見と巡り合う縁の深さ、姫の美しさと教養に感激し、
本当の父である内大臣(当時の頭中将)には黙って六条院に迎え入れます。
新たに咲いた六条院の花玉鬘を中心に展開する玉鬘十帖の幕開きの巻です。

なを、長い巻ですので終盤の衣配りの段は、次回2月公演「初音」の巻で語ります。


源氏物語らしく、姫自身の言動ではなく、取り巻く人物の必死さをとおして
姫のただならない状況が描かれていきます。
一人ではなにも出来ない、邸の奥に籠め育てられた姫が、
周囲に支えられて必死にほのかな灯りを頼りに大海原の旅に身を投じる姿は
逆にどんなに周囲が協力してくれても、本人がその足で一歩踏み出さなければ何も起こらないという大事な事を教えてくれます。
また現在とは違って、京と筑紫の文化的隔たりは大きく、田舎と呼ばれるその地で
玉鬘は乳母の教育だけでお姫様としての高い教養を身につけていますが、
そこには本人の資質が大きく関わります。
俤も不確かな母、そしてまだ見ぬ都の父。不安な毎日を送りながらも、
再会を祈る心が玉鬘に道を与えるのです。
遠くを見つめものを思う姫は自分で自分を美しい姫に育てたのではないかと思えます。

10/20(土)21(日)明大前のキッド・アイラック・アート・ホールにて
3時開演です。是非物語を楽しみにお運び下さい!
詳細、お申し込みは下記サイトから・・・

本日27日までURLが違っていました、ご免なさい。下記です。

http://www.genji-kyokotoba.jp/%E6%98%8E%E5%A4%A7%E5%89%8D%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB/