あはひの物語


源氏物語は王朝の恋愛物語ではなく あの世とこの世のあはひ 境の物語だと思います。

朝顔の巻では、朝顔の姫宮に恋情を訴え退けられた源氏が 
その後紫の上に ずっと胸に秘めていた亡き藤壺のことを語ります。
そのことだまに震えた藤壺の魂が夜半雪の庭に降りてくる。
明け方の源氏の夢にあらわれます。
藤壺の姿が見えたかと思ったら紫の上に揺り起こされて 愛しい姿は消えてしまう・・・。
そこに見えるのは藤壺の宮の形代として育て、宮に大変よく似た紫の上・・・。
あの世の藤壺とこの世の紫の上。
 そして先の朝顔の姫の歌がここにかさなります。

 秋はてて 霧のまがきにむすぼほれ 
      あるかなきかにうつる朝顔

朝に開くあさがおの花は光にまみえたかと思うとじきに萎んでしまう
見事なかさねだと思います。

この巻に朝顔の姫宮とのやりとりが必要とされるのは
彼女が巫女としてあちらとこちらを結ぶ役割を担っているからなのでしょう

朝顔の巻が大好き。源氏物語らしい巻だとおもいます。





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