常夏 なでしこ いとし子 山猿・・・!


四年目にして、源氏物語連続語り会は五十四帖の折り返し点です。
お支えありがとうございます。

物語は折り返しにふさわしく(?)源氏の息子達の代がいよいよその個性を発揮しだします。
玉鬘十帖も盛り上がって来、常夏の巻と、篝火の巻が控えています。

源氏の息子夕霧。現在は胸に秘めた雲居の雁への思いに忠実な真面目一筋。
内大臣の子息 中将の朝臣は、後に柏木と呼ばれ、源氏の運命に大きく関わりますが
父譲りの和琴の名手、そして彼の吹く笛の音も源氏大臣を感心させます。
その弟の弁の少将の歌は鈴虫にまがうほど とか。

常夏はなでしこの古名、撫でて愛しむ子、という子への思いにかさなるこの巻は
まさしく源氏と内大臣のお子さん達が全員集合というような巻なのです。
当時の貴族は女の子を如何に育て入内させるか、これが大きな課題でした。

絵合の巻は優雅に絵を競べる王朝の雅な香漂う巻でしたが
実はあれから内大臣の嘆きが始まりました。
頭中将時代から源氏の君に競べられていつも二番手だったけれど、
次の世代にまで自分の二番手の影が落ちている・・・!
熱心にお后教育してきた娘弘徽殿女御が、中宮の座を源氏の養女 梅壺の女御に奪われたのでした。
それではと、もう一人の娘 雲居の雁を東宮妃にとおもったら・・・
源氏の息子夕霧と恋仲だって・・・?まろは聞いちょらーん!
許せんとばかりに二人を引き裂き、ああ、ほかにどっかに女の子、作っとかなかったかな。
そうそう、あの夕顔の生んだ女の子、三歳だったあのナデシコを捜そうではないか。

そのナデシコは、源氏の君が自分の娘として六条院に引き取った、玉鬘の姫。
そんなことも知らずに内大臣、「御落胤」と名乗り出たある女君を
(よっぽど女の子を求めていたのでしょうね)よく調べもせずに引き取りました。
それが山猿「近江の君」。
いきなりセレブになっちゃって 有頂天\(^O^)/。
暮らし向きがガラッと変わったけれど、双六大好きやめられない〜
だって人生ゲーム(懐かしい)で一気に富豪になっちゃったみたいなものだもの、
サイコロの目に人生の醍醐味感じちゃう!!  ・・・・・。

娘雲居の雁にうたた寝すらも許さない御父様内大臣がお出ましになっても
控えることを知らないこの姫は、実はとても可愛い自然児、素直な子なのです。
「お父様のお便所のお掃除だっていたしますわ!\(^O^)/」   ・・・・。

道ばたに元気に咲いていた草花を引っこ抜いて水栽培の花園に放り込んだみたいに、
むき出しの、土の絡んだ根っこをみせてわが世の春 と張り切る近江の君。
素晴らしい教育の賜物で、そんな君をあからさまに笑うこともしない弘徽殿の女御。

近江の君の滑稽なふるまいのせいで、玉鬘の姫の優美さ、高貴は引き立ちます。
でも自分の立場、生い立ち、不安なゆく末を、源氏に気を使いながら
王朝人としての教養を身につけてゆく玉鬘のなんと気狭なこと。

近江の姫は早口です。ぺらぺら喋る様に、父大臣はげんなりします。
式部も、いくら良いことをいっていてもしゃべり方で台無しになる、
たいしたことない内容でも、ゆっくりと赴きある話し方だともっともらしく聞こえる・・・
って、これは逆に貴族の有り様を揶揄しているようにも聞こえます。

近江の君を笑いものにすることで、紫式部は貴族社会の、あるうわべのもろさに
一石投じているようにも感じられます。

歌が少なく、台詞の多い、一風変わった小説のような巻。
同じ玉でもぎょくとボールくらいの腹違いの姉妹。
重さ、軽さ、その質感を如何に・・・・・・。


6/21,22 キッド・アイラック・アート・ホールでお待ちしています。








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