物語の作り手は・・・


玉鬘十帖もいよいよ幕となる「真木柱」の巻で今年の連続語り会は始まります。
まずはその前編・・・。幕があくや、これまでかぐや姫を思わせた玉鬘求婚譚に決着がついたと知らされ、私達は面食らいます。どうやらお相手は思いもかけない人物だということがわかってきます。

一番驚いたのは玉鬘の姫君でしょう、恥ずかしいやら疎ましいやら。
周囲の人々もそれぞれに口惜しい思いでなんとか納得しようとします。

源氏の藤壺密通とおなじく、ここに一役かった人物の存在があります。
それは姫に最も近く使えていた女房、弁のおもと。
若き源氏の君が藤壺の宮の女房・王命婦を責め立てて、宮の御寝所に案内させたように、
弁のおもとも玉鬘を熱烈に慕う男君に情報を流し、密かに手引きをしたのでした。

現代小説と違って源氏物語ではそういった場面は直接的に語られることがなく、だからこそ様々な想像が膨らんで、物語がよりひろがりを持ったものに育ってゆくのだと思います。
源氏物語を作っているのは紫式部だけではなく、物語を聞き、想像する私達でもあるのですね。

玉鬘結婚の波紋は求婚者以外の人々にも悲劇を引き起こします。
物語の後半は「真木柱」の巻名ともなる歌が、哀切をもって歌われます。
家庭が崩壊、母は狂気の人となり、また父と別れて住み慣れた家をあとにする若い姫君が、いつももたれて寛いでいた真木の柱の割れ目に、「私を忘れないで」と歌を笄(簪)で差し込み名残を惜しむ様があわれです。

この姫も、玉鬘もその他の人々も、目の前に迫る現実に、なんとか心を収める努力をして従ってゆく・・・
お天道様にたよる農耕の歴史を生きてきた日本人の感性かと思います。



「真木柱」の巻は 2月15日(土)16日(日)の両日 午後3時開演です。
ホームグラウンド 小さなタイムカプセルのキッド・アイラック・アート・ホールで
お待ちしています。
長い巻ですのでちょうどきりの良い一段落で、前編後編に分けました。
後編は4月になりますが、問題ないように工夫をしようと思います。
またその分原文もお聞き頂く時間を・・・とも思います。
どうぞお誘い合わせのうえお運び下さい。


お申し込みなどの詳細は 源氏物語「真木柱」 で御覧下さい。

この語り会が終わったらフランスでの公演が待っています。
ワクワクドキドキの二公演です。

御縁に感謝です







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